Hirommy

愛と哀しみのボレロのHirommyのレビュー・感想・評価

愛と哀しみのボレロ(1981年製作の映画)
5.0
あっという間の3時間。心震えました。実在したヌレエフ、カラヤン、エディット・ピアフ、グレン・ミラーがモデル。モスクワ、ベルリン、パリ、ニューヨークの4組のカップル2世代の話。シレッと一人で親と子演じてて人物像混乱し、後で調べて繋がった箇所もありました。戦争に翻弄されながらも、別々の場でそれぞれの芸術に邁進しながら圧巻のクライマックスのボレロへと突き進む。壮大な大河ドラマのよう。好きな予感しかなかったけど予想を遥かに超えて好みでした。原題は仏語で「時代をともにした、人それぞれの人生」という意味だそうで納得。でも邦題「愛と哀しみのボレロ」もとても良い。戦争による悲劇のお話ではあるけれど人間讃歌のよう。そして喜納昌吉が言う「右翼でも左翼でもなく皆中翼(仲良く)」つまり平和には芸術が不可欠、嗚呼、世界中の芸術家の皆さんと有り難う!という気持ちになりました。現実には平和に至るには及んではないけど、でももし芸術がなければ十分地獄なこの世がどれだけ暗黒だったことだろう。バイオリニストのアンヌ役のアルジェリア出身の女優さん、なんて気品があって可憐なの。若き日のローラ・ダーンに似てる気もした。アンヌのエピソードが一番見てて辛かった。返す返すもホロコーストを体験したユダヤ人たちが、数十年後には手にしたイスラエルという国から、手段は違えどパレスチナ民族抹消に血眼あげてる事実が信じ難い。裏を返せばまだ強烈なPTSD状態から回復できてないということなのか?だとしたら国丸ごと長期治療が必要。映画の中でも「時は流れ、そして活気のある1960年代」のナレーションが入り、第二次大戦から我が人生が地続きであることにストーンと意識が及びハッとした。年表目線で言えば100年なんて人の一生、本当に短い。
朝10時の映画祭初めてだったけど、観終わってもまだお昼!ってのも新鮮で良いな。
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