"すべての花が刈られようとも、春は必ずやってくるーー"
21世紀のクラシック界に彗星のごとく登場し、全世界を魅了するベネズエラの若き指揮者の栄光と苦悩のドキュメンタリー
(公式サイトより)
グスターボ・ドゥダメル
いやはやなんともエネルギッシュな指揮者だ。
指揮する姿も、言動も、すべてがエネルギッシュで人を惹きつけ魅了する。
もちろん彼が指揮する情熱的でエネルギッシュな音楽で世界を魅了し続けている。
「音楽は人権」であり、人を成長させる。
音楽は人々楽しませ、社会を癒し、人々の魂を癒す。
そして、人と人とを結びつける。
本気で音楽の力で世界を良くしようとする信念を感じる。
まさにクラシック界のヒーローなのだ。
そんな彼の最大の苦悩は、祖国ベネズエラから追放されていること。
政治的混乱の最中、反政府デモに参加した若き音楽家が殺害された事態を受け、祖国の大統領府と対立してしまったからだ。
祖国でのツアーは中止され、足を踏み入れることすらできなくなってしまったのだ。
いつか祖国に帰る。
祖国に残した音楽家の卵たちに「いつか必ず指揮をしに行く」という約束を守るため、彼は世界各国で指揮棒を振り続けているのだ。
「エル・システマ」
"ベネゼエラの音楽"の奇跡と言われるオーケストラネットワーク「エル・システマ」が興味深かったですね。
私はこの映画で初めて知りました。
「エル・システマ」とは、音楽を通じた青少年育成、犯罪防止プログラム
すべてのベネズエラの子どもや若者たちが音楽教育を無償で受けられる仕組み
音楽教育を通じて、協調性や規律、積極性などを育む社会改革システム
ドゥダメルは、その責任者として、その志を未来へと受け継ぐ使命を果たそうとしているのだ。
ベネズエラに帰れず、コンサートも子どもたちへの指導もできないもどかしさ。
しかし、彼は希望を持ち続け、世界で活躍し、ベネズエラの子どもたちを各地に招いて指導している。
特にドゥダメルの情熱がほとばしる、様々なオーケストラとのリハーサルやコンサートの演奏シーンは圧巻だ。
まさに、「ビバ・マエストロ!」と立ち上がって歓喜の喝采を捧げたくなる。
クラシックに興味のある人、ない人
ドゥダメルを知っている人、知らない人
とにかく、音楽が好きな人にはオススメいたします。
音楽で世界を魅了し、困難を乗り越え、音楽で世界を変えようと挑戦している指揮者がいることを目撃できるはずです。
そして、音楽の力を再認識できるはずです。
音楽には人々を団結させる力があると、彼は本気で信じている。
そんなドゥダメルは、2026年、ラテン系指揮者で初めてニューヨーク・フィルハーモニックの音楽監督就任が決定しているそうである。
これからも彼の活躍から目が離せない。
(今まで知らなかったくせにね)
(彼が指揮するシンフォニーを聴きながら)