戦後復興期の日本をゴジラが襲うという新プロットのゴジラ。公開初日に聖地日比谷にて鑑賞。
とにかく主役の神木隆之介の熱演光る一本で、ゴジラを観に行った自分が終始神木隆之介に釘付けになりました。素晴らしい演技！
怪獣映画ゴジラとしても新機軸で、災害映画でなく、怪獣プロレス映画でなく、人間ドラマを描き切ったという珍しい作品ではないでしょうか。
ヒロインの浜辺美波と共に俳優陣が素晴らしく、戦後復興期の最貧国日本にあって、幸せと言えないながら前を向いて歩く日本人に焦点を当てた傑作と言えましょう。
ゴジラに対峙する旧帝国海軍艦艇の生き残りたちが活躍する姿もエモい！後に賠償艦としてソ連に引き渡されヴェールヌイとなる直前の響、そして台湾に引き渡され丹陽となる雪風と、ゴジラの海上戦闘！意外にもゴジラ映画ではゴジラと艦艇の海上戦闘が描かれる機会はこれまでほとんどなく、その点でも異色の作品です。
欲を言えば、敗戦直後の日本を描いた割に、核に対する忌避感が薄味なところがやや気になったでしょうか。ビキニ環礁で放射線を浴びたゴジラが怪獣化する描写など、「クロスロード作戦」のキャプションだけでは説明不足でしょう。
関連して、登場人物達が全員三島由紀夫的な「生き残ってごめんなさい病」一色なのは、もしかしたらこのご時世あまりウケないかも、とも思います。
このあたりのテーマ性が、ゴジラを題材にしつつ、核の恐怖と距離感の出てしまった一因なので、これは賛否あるのでしょう。
ではあるけれど、戦時兵器マニアなら誰もが知る、あの超兵器がゴジラ退治の切り札として登場する激アツ展開あり、それと相殺でよろしいのではないでしょうか。
過去作と比べたとき、似た時代似たプロットで描いた作品としては「ゴジラの逆襲」が近いと感じます。
初代ゴジラのヒットを経て、3ヶ月でリリースした「ゴジラの逆襲」は、いかにも急拵えなところが目立つ作品でしたが、旧海軍航空隊出身の主人公、戦後の焼け野原の再来にめげないところなど、重なる部分多くも、ゴジラ−1.0は突出したドラマに仕立てられています。
想像以上に満足の作品でした。
神木隆之介と浜辺美波、全てのキャストとスタッフに惜しみない称賛を。
