グラッデン

ゴジラ-1.0のグラッデンのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
4.0
面白かったです。強度の高いVFXと、時代を生きる個人にフォーカスした脚本で、日本映画における確かな実績を積み上げた山崎貴監督らしいマイナス=「反転」のゴジラ映画だったと思う。

『シン・ゴジラ』は、初代の戦争経験を災害経験に置き換えて鑑賞者の記憶に呼びかける作品に仕上げていた。一方、1964年生まれの山崎貴監督は大半の鑑賞者と同様、マイナスの舞台となる戦後直後の時代を知らない。その点を踏まえると、監督のメッセージを登場人物に託すアプローチは最適だと思ったが賛否は分かれるところだが、活劇のボーナスポイントは高かった。

余談だが、物語の終盤に展開される【ワダツミ作戦】の名称が気になった。わだつみとは、海を指す言葉だが、戦争末期の学徒兵の遺書を集めた『きけ、わだつみの声』のことを思い出した。本作の主人公たちの立場を踏まえると、二重の意味を感じたりした。