侃生KAN

ゴジラ-1.0の侃生KANのネタバレレビュー・内容・結末

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます


『シン・ゴジラ』は環境破壊のメタファーとしてのゴジラであるのに対して、『-1.0』は戦争の象徴としてのゴジラ、つまり原点回帰としての性質を持つことはもちろんとして、さらに登場人物の人としての業を深く描くことに挑戦し、成功している。
故にマイナスワンは大傑作だった。

ゴジラという作品はシリーズが続くに従って、エンターテイメント性(特に子供受けしやすいと考えられる手段としての)の追求が主軸に置かれていた時期が長く、その副産物としてのキングギドラや、へドラといった人気怪獣を産み出し、それらのリファイン・アレンジを繰り返して、シリーズを繋げるという努力をしてきた。

しかしその結果おざなりにされてきた、ゴジラ本来が持つテーマである『人の業』を描くことを『シン』は序章として、そして本作で本領発揮と言わんばかりに見せつける。

本作の凄みは『シン』で新しかった点である、災害シミュレーションの延長として描かれるゴジラを、より臨場感溢れる構図、演出などで前作よりもさらに説得力を持たせている点と視聴者の視点としてのキャラクターに濃厚な人間ドラマを持たせることで作品に深みを与えている点であろう。

この作品を観劇する上で、前情報は一切いらない。初代のテーマを内包しつつ、全く新しい作品に仕上がってる、大傑作だ。
侃生KAN

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