みひろ

ゴジラ-1.0のみひろのネタバレレビュー・内容・結末

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

面白かった!
んだけど、ノリきれてない自分もいて、不完全燃焼……。
リアルにしたいのかエンタメにしたいのかわからず、どっちつかずの心構えで観たせいでのめり込めなかった。

とにかく演技が過剰で説明のための台詞・シーンが多すぎる。良く言えばわかりやすい。シン・ゴジラのアニメっぽさともまた違った、演劇みたいな演技のクサさ。安藤サクラさんだけは自然で良かった。

特に気になった説明クサいシーンをあげると、

敷島が見殺しにした同僚たちの写真を見て呆然とした顔をするシーンを見て(まだ罪悪感に囚われてるんやなぁ……)と読み取って感傷に浸ってたら「許してくれないってわけですか……!」って台詞が入って(あぁ……うん……言わなくてもわかるよ……)って気持ちになったり。

最後の戦いに同行したいと言う水島を拒否した佐々木蔵之介の厳しくも優しい大人の態度に(かっこいい!)と思ってたところで、ぼそっと「この国はお前達に任せたぞ」の台詞。音量的に水島に聞かせるつもりはなさそうだし、大きめの独り言?なんでこの映画の人達はいちいち全て心情を口に出すんだ……。振り返らず歩くそのシーンだけで若者に日本を託す気持ちと戦いへの覚悟は表せてるよ。台詞なくても読み取れるって。もっと観客を信じてくれ……。

海から爆発音→みんな海側を見る→炎上した船が飛んでくる→それを追ってみんなの視線が陸側に→船が港に落下→船が落ちた場所をしげしげと眺める人達→一人が海を見て「おい!あれ!」→海を泳ぐゴジラ→「もうこんな所に!?」
この間25秒くらい。
いや、船が飛んで来た時点でゴジラの仕業だってわかるだろ。落下した船眺めてないですぐに海見てゴジラを探せ。もう一隻飛んで来るかもしれないし、放射熱線が来るかもしれない。危機感持てって。死ぬぞ。
書き出してわかったけど、この一連のシーン文字にして読むとそんなに不自然じゃない。めっちゃ"それっぽい"。でももし本当に自分がその場にいたら絶対そうはしないだろうという行動。"それっぽい"演出のためにリアルさを捨ててる。

あと行動が不自然なところもあった。
ゴジラが東京に向かってることがわかった!でも政府に口止めされて公表できない……よし!みんなで東京に住み続けよう!ノリコは銀座へ出勤してもいいよ!今にもゴジラ来るかもしれないけどね!←なんで??????敷島はゴジラと戦いたいだろうから東京に残るのはわかるけど、ノリコとアキコは遠くに逃がせよ。口外できないとしてもテキトーな理由つけて。

展開が読める。
敷島の特攻シーンより前にゴジラが倒されるわけないから海神作戦は絶対失敗するし、水島は絶対助太刀に来るし、やったか!?は絶対やってないし、絶対脱出装置は付いてる。
良く言えば王道だけど、もっと意外性がほしかった。
唯一読めなかったのはノリコ吹っ飛びからの生還からのゴジラ細胞くらい。

全編通してなんか鬼滅の刃と同じものを感じた。
鬼滅の刃を初めて読んだときにやたら説明台詞が多い漫画だなと思った。「僕は今こう思っていてこうするとこうなるのでこうします!ヤァー!」みたいな。
鬼滅の刃好きだよ。漫画全巻読んだしアニメも見てる。映画も行った。面白い。でも傑作!名作!日本一!みたいに言われると(そこまでか…?)と思っちゃう。
ゴジラマイナスワンも同じで、間違いなく面白かった。けど「日本映画の最高傑作だ!」みたいなこと言われるとモヤッとしちゃう。誰がどんな感想を持とうと自由だし否定する気はないけど、俺の中ではわかりやすい=面白いではないんだよなぁ……

あとこれは完全に重箱の隅つつきだけど、フロンガスって深海1500mの水圧の中でもちゃんと気化するの……?炭酸ガスの浮き袋はちゃんと膨らむの……?架空の兵器オキシジェンデストロイヤーでぶっ倒す!じゃなくて現実的な科学考証が作戦に含められたせいで、観てるこっちも現実モードに入っちゃって、こういう細かいところが気になった。

すごい否定的なことばかり書いちゃったけど、深く考えず気負わずエンタメとして観れば普通に面白いと思う。
みひろ

みひろ