raft68

ゴジラ-1.0のraft68のネタバレレビュー・内容・結末

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

これほどまでにもうやめてくれ、もう出てこないでくれと思うゴジラは始めてかもしれない。シン・ゴジラもそういうところがあったがシン・ゴジラ以上に感じた。

物語としてはゴジラが脇役で、敷島をはじめとする戦争を生き延びたものたちの戦後の未来を生きる覚悟の話だった。死ぬかもしれない作戦とわかっていても生きるためにみんな参加したと強く感じられた。
敷島が持つ罪悪感が、典子を失ったことで一つ吹っ切れて、むしろ本当に死ぬ覚悟ができたのかもしれない。でも橘が生きろと言ってくれたことで、死ぬのではなく生きることが今自分がやるべきことなんだと思い直すことができたのではないだろうか。死ぬことが罪悪感を拭ってくれるわけではない。何がなんでも生きると言った典子の生きるを、その分を生きることが敷島が生きる意味になったのではないだろうか。
敷島だけじゃなくて秋津や野田や水島らをはじめ、登場する人一人ひとりのドラマや生きる意味を、覚悟を感じさせられる本当に魅せられた人間ドラマであった。
フィクションだが、こんな風に戦後崩壊した日本を生きることを覚悟した人たちきっとたくさんいて、復興に尽力したのだろう。その土台に生きられていることにおこがましいが感謝したい。

そしてやっぱりゴジラと言えばこれだよなと音楽で思わされる。曲名とか詳しくわからないけどいつものゴジラの音楽たちが流れると改めてゴジラというコンテンツの大きさを感じた。

なかなか観るタイミングを逃して映画館で観ないままになりそうだったが、これは映画館で観てよかった。
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