すー

ゴジラ-1.0のすーのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
4.0
賞をとったこと以外まったく前情報なく観たので、序盤は太平洋戦争の日本、特に特攻隊がテーマになっていることにとても警戒した。
国のために死ぬのが立派だという国家観が受け入れられない。大勢を救うために死を恐れないことを美談としやしないかとヒヤヒヤしてしまう。

しかし、そうした命の帰属問題よりも途中から私がもっぱら注目したのは核兵器利用の危険性を訴える婉曲表現だ。

ゴジラが目覚めた理由には人間の核開発(水爆)があり、日本に上陸し暴走したときにできるキノコ雲や街を吹き飛ばす凄まじい爆風は広島・長崎を彷彿させた。
主人公に「あなたにとっての戦争は終わったのか」と問いかけた女性の首筋に、黒いシミのようなものが浮かんでくるのも、彼女が「黒い雨」の被害者であることを暗示していると思った。

被爆者にとっては令和のいまも、戦争が終わっていないことを連想させる。だから設定も1945年でなければいけなかったのかと納得した。

ゴジラは、不死身のよう…フィクションなのに存在が怖すぎる…どうすれば人間社会と共存できるのかと考えてしまった。
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