脚本、構成、映像、シーンとその繋ぎ方、どれをとっても、日本映画には類をみないほど完成されている素晴らしい作品。
日本映画史に輝くマスターピースになったのも頷ける。
日本映画によくある、お粗末感、お金なかったんだろうなー感や、偉い人やスポンサーに逆らえなかったんだろうなー感を全く感じず、最初から最後まで楽しめた。
低予算で撮りやすい種類のものでもなく、艦隊も戦闘機もしっかり登場し、街は破壊され、ヒロインは宙を舞い、黒い雨が降る。しかし、どの映像も違和感がなく、迫力がある。
WBSの特集で、もっと良くできるという若手の声を封じなかった、意見を言いやすく風通しのよい現場だったと知って、監督をとても好きになった。
そんな監督だから、スタッフの能力を引き出して、ワンマンではできないチームの力、個々の力が発揮された映画を作れたんだろうなと思う。
ドラマもしっかりしていて、だからこそ映像の迫力が、その恐ろしさが、心に迫る。核兵器のメタファーとしてのゴジラを、セリフではなく映画全てをもって語ることに成功していて、単なるエンタメ怪獣映画ではない深みがある。
ラストはよかったけど、ありえない違和感で、ご都合主義で興醒め系なのかと思いきや、肌を這い、再生する細胞の表現で突き落としてくる納得感。
劇中のセリフにもあったけど、「できることを全てやる」を貫いたんだろう。
それだけでも、とても感動する。
けど所々、セリフで言うの変だったり、演技くささが気になるシーンがあったのでスコアは-1。
永遠のゼロのテーマっぽい音楽だと思ったら、やっぱり佐藤直樹氏だった。(佐藤さん大河が多いけど、TVアニメ版エウレカの時みたいな洋色があって、大袈裟に感動的な音楽の時の方が本領発揮してる気がする。)
日本映画界で、これだけのスケールの映画を作りあげたことに、ひたすらに拍手を送りたい。