「恥ずかしながら帰って参りました」
横井庄一の有名な言葉であり、時代の価値観を端的に表した言葉。
特攻隊は死ぬことが使命であり、死ぬことで任務完了となる。
生き残ること、すなわち任務の失敗であり、祖国への裏切りであり、恥である。
こういう政府のやり方に抗議したインテリ達は皆、特高に捕まって拷問・処刑され、声を上げる人は消えていった。 この価値観の歪め方こそ、当時の日本政府のやった醜悪な所業。「お国の為に」がいかに空虚で馬鹿らしいことか。
政府にブレインコントロールされた大衆は当時帰ってきた敗残兵、特に特攻隊員を、猛烈に軽蔑したという。
この作品では、安藤サクラ一人しかその事を攻めないけど実際には村八分状態であったろう。 とても、とても悲しいことだけれど、そういう時代だった。
政府が機能してないので、しかたなく民間でやる、という話の持って行き方に、山崎監督の思想を垣間見た。
新しい戦前と言われる今、この作品を世に出したことに強いメッセージを感じる。いや我々は感じとらねばならない。