せいけ

怪物のせいけのネタバレレビュー・内容・結末

怪物(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

是枝裕和と坂元裕二による化学反応が間違いなく起こっている
やや文学調なセリフとそれを自然に響かせる演技と演出そしてあらゆる日本の社会問題を背景に大人と子供のそれぞれの世界が描かれる
まずロケーションがとてもいい
間違いなく日本であるのに地名が明確に出てこない抽象性が絶妙
どこにでもある町に見えて奥に入れば美しい自然があり、ただ見ようによっては状況によっては恐ろしいものにも変わってしまう
服の汚れを落としアイロンでシワを伸ばすクリーニング屋、子供たちに正しさを教える小学校教師、誤植を見つけるというやや歪な趣味、川の汚れを取り除く設計
あらゆる要素が視覚的に示唆してくる
この世界観そのものが語られるテーマと直結していていい意味で映画を見ている感覚になる
坂元裕二によるセリフらしいセリフと火事や嵐など見た目の派手さが加わることによってこれまでの是枝映画よりも大きさと広さが加わったように思える
いわゆる面白そうな見た目に構造の巧みさも相まって何度も見返したくなるような深みも生まれた
是枝監督作品の中でもトップ級に好みな映画