是枝監督の描く「藪の中」という印象だけど、それだけではないのが良かった。
10番の「特定の人にしか手に入れられない幸せは本当の幸せじゃない。誰でも手に入れられるのが本当の幸せ」という台詞がグッときた。そしてエンドロールでの坂本龍一のピアノ曲が琴線に響きまくった。
示唆的な（というかほとんど明示的な）終わり方には賛否両論あると思うけど、物語の構成や時間軸の提示方法が見事だった。そして、是枝作品は必ずと言っていいほど子役の演技が良くて、今回も素晴らしかった。
学校というある意味独特な閉鎖空間での、「子供と子供」「子供と大人」「大人と大人」の関係の描き方がリアルなようで寓話的なのが苦手な人もいるとは思うけど、そこはエンターテイメントとしての映画作品だと割り切れれば個人的には問題なし。
大人から見て理解不能な子供の言動でも、子供なりに辻褄が合っていて、彼らの世界のパワーバランスで成り立っているというのは言葉にするのは容易いけど物語として描き切るのは製作陣と役者陣の巧さだと思う。とりあえず今年上半期ではNo. 1かな。
