山内

怪物の山内のレビュー・感想・評価

怪物(2023年製作の映画)
3.5
個人の視点は、ある人がそのように行動したことの十全な理由を把握しきることはできない。中心には常に暗い空洞があって、個人に観測できるのは常にその周りに現れたものだけ。空洞はマクロな次元からミクロな次元に至るまで常にある。諏訪湖、学校の吹き抜け、目。
認識不可能な力の磁場としての、中心の空洞は、自然を当てはめると、まあ、そうだと思うけど、組織とか社会を当てはめると、ああそうかと思った。
瑛太を辞職に追い込んだのは、誰の意志なのか?学校やその周りを取り巻く保護者、マスコミ?誰が瑛太を辞めさせたいのか、明確な意志はないまま、特定の方向へ力は流れて、人はその力の周りで、個人の中では辻褄が合っているだろう行動をとっていく、結果として、観客には誤解と見える形で1人の人間が職を追われる。
集団表象は単なる個人の集まりを超えたものであるというのが、腑に落ちた。誰のものともわからない人々の意志のような集合が、個人が意思することを超えて、特定の方向へ流れていってしまう。
瑛太はDJ松永みがあった。
山内

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