山内

悪の教典の山内のレビュー・感想・評価

悪の教典(2012年製作の映画)
4.1
生徒役が今から考えるとすごい俳優ばっかりだ。

シリアスなミステリーを作ろうとしているというよりは、学校の怪談を作り直そうとしているのではと思った。
学校の怪談では、お化けが学校を異空間へと作り変える力を持っていた。しかし、この作品ではお化けは学校を異空間へと変える力はない。それはこの作品の生徒が小学生ではなくて、学校の怪談がもはや虚構でしかないと醒めている高校生だからということもある。だからこそ、生徒は文化祭でお化け屋敷という形で、お化けという虚構を娯楽として演じることができる。お化けは日常の延長として、世界を変えることのない一つの虚構として消費されようとしている。しかし、文化祭のために生徒たちが作り出したお化け屋敷としての学校は、ある1人の人間によって異空間に変貌していく。ここで、世界を変えるのは、怪談となるのは、お化けではなくて人間になる。
学校の怪談にしろ、悪の教典にしろ、世界が変わるということが抽象的な次元でなくて、画面そのものの変化として現れる。その画面がかなりかっこいい。
諸々クオリティが高く感じた。
山内

山内