たか

怪物のたかのレビュー・感想・評価

怪物(2023年製作の映画)
4.5
 衝撃です。とても考えさせられる作品でした。我が子を思う親、真摯に生徒に向き合う先生、子供同士の友情や愛情、そして根も葉もない噂、イジメ、心を病んでいる先生。どこにでもいる人達、どこにでもある状況です。人ぞれぞれ異なる性格、解釈、判断、それが絡み合って生まれるのが怪物なのかもしれません。怪物は目には見えず、気がついたら瞬殺されています。

 本作では単に一つの要素として扱ってますが、どこにでもいる若気の至りのいじめっ子、私のような気弱で女子と気の合う子供は通過するのが至難の業でした。よく生きて大人になれたなと思えるくらいで、私にとってはいじめっ子が単独の怪物でした。怪物には実態があり、じわじわ時間をかけて攻撃し続けます。

 そして人は一つの視点だけで全体を妄想して確信してしまう。そうじゃないことを、我々大人は人生の中で何度も気づかされているはずのに、すぐに忘れて映画を観ても騙されてしまう。感情移入こそ怖いものはありません。これもまた怪物と言えます。怪物は、妄想を真実と勘違いする人間の性にあります。
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