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怪物の豪のレビュー・感想・評価

怪物(2023年製作の映画)
5.0
自身の中にある怪物性はこんなにも気づきにくいものなのかと、多角的なストーリーだからこそ思わされる。
暴力、他罰、攻撃、支配、いやがらせ等は自覚の持ちやすい。なぜなら一般的な倫理観で悪意とみなされやすいから。
しかし、正当性を伴い、かつ悪意に自覚的ではない他者を損なう行為というのは自身でもコントロールが効きづらい。無自覚で気づいたらしており、またしていることも客観視せず、社会規範や自身の知見・倫理観で自己肯定してしまう。かつ、噂を信じる、ルールを丸呑みにするなど、自分で考えないことも加わると気づいたら怪物と呼ぶに相応しい暴力的な発言などに繋がっていく。誰しも優しい一面はあるはずなのに。
結局解決策は対話と理解と尊重しか思い浮かばなかった。しかし、情報が溢れ人を紋切り型にはめ込んでいく時代に怪物を産まないことってできるのかな、と悲観的に思いつつ、逆に言えば身の回りの人で恐ろしい部分が垣間見えても理解する部分があるかもしれないなという希望的なことも感じれた
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