鹿鳴

怪物の鹿鳴のネタバレレビュー・内容・結末

怪物(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

クチコミで何も知らずに見に行けって書いてあったから、本当にあらすじも予告もネタバレも何も見ずに見た。うん、見てよかった。

誰かが誰かの怪物になる可能性ってこんなに身近にあったんだなあ。ミナトとヨリが廃電車の中でやっていた怪物だーれだは相手からみた自分とは?に当てはめたものだったのかな。「僕は星川依里くんですか?」ここのシーン大好き。2人はきっと同じ思いを通じていたから仲良くなったんだろうね。

「僕は幸せになれないから嘘をついている」という言葉が凄く悲しかった。まだ生まれて10年くらいの子供達がここまで考えて、苦しんでいる姿をみたらもっと多様に受け入れていける世界にならないといけないんだと強く感じた。普通なんだよ、病気でも異常者でもない、ちょっとした個性なんだよ。
このぐらいの年頃ってある意味"男と女"がなくて純粋だった。あの純粋だった頃に戻りたいなと2人を見てて感じた。

校長の言った「しょーもない、誰かにしか手に入れられないものなんて幸せじゃない、誰にでも手に入るものが幸せなんだよ」が今の自分に響きすぎたなあ
校長が1番謎が多い。実際に孫をひいたのは校長なのか?スーパーで子供に足ひっかけてたのは子供が嫌いだから?この作品の中で1番二面性を持った人物だったから、ある意味怪物に近い人だった。曖昧な所をあえて残し視聴者に考えさせるのがこの監督の好きな所かもしれない。

最後の草木の中を駆け巡って叫びながら走るシーンは淡く切なく、そして美しかった。彼らの進む道がどうか穏やかで幸せな未来でありますように。
鹿鳴

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