yuri

怪物のyuriのネタバレレビュー・内容・結末

怪物(2023年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

今年1の大ダメージかもしれない
心のゲージが死ぬほど擦り減った
もう一度観てと言われたらしんどいけど、もう一度観たいっていう謎の感情

気になるところがどんどん解消されて、視点や切り取り所が違うとこんなにも違う話になるのかと…その人の見えているところなんて、ほんの一部分でしかないのだと思い知らされる
怪物というのは、受け取り側が生み出してしまう変幻自在な陽炎のようなものなのだと

あんな秘密基地あったら最高だなぁ
ナマケモノは、何も感じないようにその場に身を任すんだよ、とキラキラしたお目目で語る星川君の姿
誰かにいじめられようと、強く抵抗することもなく、やり過ごしていた姿が思い出され、そうやって、小さい身体ながらにうまく生きてきたんだなと、居た堪れなくなった
母親はじめ、周りから求められる普通の生き方という像に苦しめられている湊の姿、普通でありたいのに、普通でないことを否定できない苦しみが痛いほど身に沁みる
普通とは…?
少年2人の演技が圧巻だった

人間は多面的で流動的だから、自分の感情ですら、理解しきるのは難しい
他人をジャッジするというその行為自体が暴力であると
犯人や悪人などが明確な方が、すっきりするが、現実は様々な事情が絡み合ってできている
誰かしらに責任を負わせて、すっきり納得したいというそのものに対しての問題提起なのかと

エンディング
雨上がりの青々とした草木をかき分け無邪気に走る2人
それまでの話の内容の重さとは反比例するかのような明るさによって、悲しみと晴れやかな気持ちが同時に押し寄せた
少年2人は死んでおらず、無事助かったという世界線と、
死んで生まれ変わったけれど、2人は2人のままである、そのままでいいんだという世界線
どちらにも捉えられるようにわざとそのような演出にしたのかな
どちらの結末にしても、少しの希望が含まれていて救われた
yuri

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