答えを言語化できない問いがこれでもかと詰め込まれた、核心を突くオンパレードのような映画。大きく分けると物事の多面性、育児・教育の難しさ、嘘のつき方・扱い方だろうか。
私は共感性が高すぎるが故に冤罪を扱う映画が大の苦手で、保利センパートの時「あああ冤罪モノって知ってたら観てなかったよ、、不条理すぎて観てられない」と頭を抱えた。それでもなお高評価なのは、それこそこの映画が多面性という矛盾に最後まで向き合ったところにあると思う。
ラストシーンをどう捉えるかも人によって異なる。誰に共感して誰に憤るか、その人の経験や人生観によって大きく異なる。あらゆる情報を同時に正しく把握できる人間なんてこの世に一人も存在しない。だから世の中は生きにくい。間違いも嘘も困難さも溢れている、でも同時に正解だって存在しない。この映画が最終的な顛末を描かないこともそういうことなんだと思えば、これが一番よかったのだと腑に落ちるものがあるはず。ラストシーンを批判するのはお門違い。
