Mina

パスト ライブス/再会のMinaのネタバレレビュー・内容・結末

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

ナヨンの感情も、ヘソンの気持ちもアーサーの不安も想像できるからこそ、最後までどの立場でいればいいか決めるのが辛かった。映画を観て感じたことを2つほど書きます。

1つ目はパートナーについて。人の選択肢を奪ったり、狭めてしまうパートナーとは意図的であろうとなかろうと幸せになれないと思っている。この人といると前向きになれる、この人といると新しいチャンスに巡り会えると思える相手と一生を共にしたい。自分が強くそう思うから、相手にとって自分もそんな存在であってくれればとも願う。そんなことを考えながら生きて今がある私にとって、12年前のナヨンの選択は極々自然なものに思えた。

2つ目は結婚について。とにかく3人全員の立場を想像してしまったので思考がとっ散らかっていたのだけど、最後ナヨンがアーサーを抱きしめ声を上げて泣くシーンが何より大事だと思った。あの涙は決して悲しいとか後悔の涙ではない。ただヘソンとの記憶の中で愛おしかった時間を終わらせたことが寂しいのだ。特に移住の背景もあるナヨンにとって、最早ノスタルジーと言ってしまってもいいと思う。あのシーンはナヨンだけの泣き顔がアップになることもなく、夫婦2人が共有するシーンだった。映画の結末としてとても美しいと思う。相手や自分に対しても無責任になれてしまう恋愛と違って、結婚は相手の全ての時間と感情を受け止める責任が伴うと思う。あのエンディングが、ナヨンにとって感情をさらけ出せる相手がこれから先もアーサーであり続けるという証明だと感じた。
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