みっちぇる

怪物のみっちぇるのネタバレレビュー・内容・結末

怪物(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ここ最近見た映画で群を抜いて心揺さぶられる作品だった

皆理解不能な他者という怪物に怯える臆病な存在であり、自分自身もまた誰かの怪物なのだと思い知らされる映画

湊と母が家でバラエティを見ている時、母親が「これ仕込みだよね」みたいな事を言った時に湊は「疑うのはどうなの?」的な事を言ってたと思うんだけど、ここら辺がストーリーの暗示的なところだったんじゃないかなと勝手に思ってて、
最初の方こそ周りのクラスメイトに少し同調して依里のことを避けたり、触られた髪の毛を切ってしまう程の嫌悪感を依里に抱いていた湊だけど、実際の人物と接していくうちに相手に打ち解け友情が芽生え、お互いにかけがえのない存在になっていく。子供の許容力ってすごいよねと思う一方で、大人は相手のことをよく知らないまま噂話で聞いた印象をまるで真実のように自分の中にインプットしてしまい、相手のことをよく知らないまま不信感を募らせていくという対比。

他者の視点で物事を見ることが大事っていうことなんだけど、結局その他者の視点って自分の中に創り上げた想像の他者でしかないから結局自分のバイアスがかかってしまうし…
自分と他人の関係性について改めて考えるきっかけになる映画だった。
小説も読んでみたくなった