怪物のユカコのネタバレレビュー・内容・結末

一見穏やかな日常から始まり、不穏にゆるゆると、ささやかな違和感から、いじめという現象を浮き彫りにして、でもその構造は大人の目からは巧妙に隠されている。誰が誰をいじめているのか分からない大人たちはひたすら振り回されるその裏側で、中心の少年2人（湊と星川）の、2人だけの純粋な世界が展開される。それが明らかになっていくその過程を、母の視点、担任の先生の視点、そして湊の視点で、それぞれの時間軸のもとに描かれる。舞台は長野の諏訪。設定、舞台の街、人物たちの置かれた境遇、演出、抑えたBGM（坂本龍一さんのすばらしかった）、役者（子役含め全員実力派でうまい）、とにかくよかった。へたに感動ポルノにしないところもよいし、最後はずっと少年2人の世界に並走していく流れも秀逸。結末の解釈はわかれそうだけど、自分はどちらでもいい。ただ、光の中に駆けていった2人が幸せであればいいと思う。静かに心に波紋を残す、好きな映画になった。