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怪物のeigaのネタバレレビュー・内容・結末

怪物(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ラスト二人とも生きてて良かったと思ったけど、解説読んで意見変わった。あれは死後の世界なんだな。
安藤さくらさんの演技が今回も流石だった。

▼filmagaより
・結末
3つの視点で描かれてきた物語は、嵐の朝に湊と依里が姿を消すシーンに繋がる。早織と保利は子供たちを探して鉄道跡地に辿り着き、秘密基地である車両を覗くがそこに湊と依里の姿は無かった。

湊の視点では、湊と依里は鉄道跡地のトンネルを抜けて、青空の下、トンネルに続く草むらへと辿り着くシーンで終わる。泥だらけの二人が、青々とした草むらに笑顔で駆け出すカットは、温度や匂いまで感じられるほどリアルで美しい。

二人は、お互いが生まれ変わったのかどうかを話しながら、草むらの中を駆けていく。そこがただの“嵐の去った後の草むら”なのか、“二人だけの世界への旅の始まり”、いわゆる死後の世界を意味するのかは、見る者に委ねられている。

・怪物とは
わたしたちは自分の正義を物差しとし、世界を見ている。この作品が描く“怪物”は、3人の視点を通してそれぞれ違うものであった。大人たちは長年信じてきた物に固執することで、気づかないうちに“怪物”を心に住まわせていた。つまり“怪物”の正体は、自分の中にある正義感が生む“偏見”なのだ。

今作は全編を通して、誰が何を考えているのかわからない不穏な空気が付き纏う。ストーリーを追い“怪物探し”をする観客は、簡単には提示されない答えに頭を働かせ、焦れていく。誰かを悪者として見た方が、理解がしやすく楽なのだ。それこそが、現実を生きている私たちも、自分の視点からみた“怪物”を作り上げてしまうという証拠だ。

自分の見た物が全てとは限らない。また、自分の何気ない言動が、いつのまにか人を追い詰めていることもある。この作品は、誰しもが“怪物”になり得ることを示している。
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