「レニ」
いよいよR. ミュラーによるスペクタルドキュメンタリー映画(3時間越え)「レニ」が国内で初BD化かつHDニューマスターを使ったのは世界初との事…歓喜だ。
レ二・リーフェンシュタールが38年に監督し、金獅子に輝いた「オリンピア」は傑作。確かG. アレッサンドリーニの「空征かば」と同受賞していた…。
冒頭、海中の描写。
不意にナチスのモノクロ資料映像。アフリカ先住民ヌバとの戯れ、カメラは一軒の家を映す。ナレーションが始まり、無数の写真、レニ彼女自身が映り込む。
今、リーフェンシュタールのもう一つの姿が露にされる…
本作は2部構成であり、3時間超えのドキュメンタリー映画で、R.ミュラーによる93年の作品で、この度BD化され再鑑賞したが、海中の描写やモノクロ画像が断然に綺麗になっていた。
さて、レニが監督した数本の作品は最も優れたプロパガンダ映画とされているが、個人的にはクリモフの「炎628」が最高のプロパガンダ映画だと思う。
ムルナウのファウストやラングのメトロポリスが撮影されたスタジオでレニが語る話は興味深い。
レニが監督に憤慨する場面やSSのパレードやヒトラーの演説は強烈だ。にしてもNHKの”映像の世紀“なので集められている資料映像とは全く異なる映像が山のようにあって非常に改めて新鮮に思えた。
最初に彼女を引きに撮る画は構成的に美しい、建築の姿が現われるからだら。2部からオリンピア(民族の祭典と美の祭典)積み重なったショットの数々に感動を覚えるし、裸像の如く引き締まった肉体美で槍を投げ、走り、水に飛び込み、聖火リレーし、日本国旗や米国旗が空高々に登るシークエンスは感激。
特に高飛び込みの撮影技術はあっぱれ。
レニの当時の映画に対しての苦労話をしている貴重な映像も見れる。
やはりさっさとオリンピアのBD化をして欲しい。米国版ではなく、独版を。
それにユダヤ人迫害の水晶の夜の一場面も出ていたが、確か今年の11月9日でベルリンの壁が崩壊され30周年と言うことでドイツ近辺ではお祝いムードだが正直、
水晶の夜の事件があるから微妙な立ち位置の人々もいるよなと… でもこの映画すごく魅力的だよな、
ナチのプロパ映画を撮った1人の女性の理想と思想の悲劇を探り、老いを日々感じるレニ自身が依頼し出来たのだから…風前の灯の最後の”私“を映画と言うフィルターを通して意義深さを強調してる。
長いが観て損無し…