鍾馗

すべての夜を思いだすの鍾馗のレビュー・感想・評価

すべての夜を思いだす(2022年製作の映画)
3.7
【環境映画かと思いきや】
懸案だったお芝居が無事千穐楽を迎えて久しぶりの映画。
今日は水曜だからいわきPIT。

ストーリーはありません(少なくとも私にはそう見えました)
多摩ニュータウンのとある夏の一日。
しばらく風景描写が続いてそして静かに映画の中に入っていきます。

3人の女性が出てきます。
ひとりは仕事を失った女性。今日誕生日の彼女は古い友人を訪ねてこの街に来ました。
ふたりめはガスの検針員の女性。記憶を失った老人を偶然見つけ彼の言うままに行動します。彼が自宅だと言って向かった先は無人の家。でもなぜかガスのメーターが回っています。
さんにんめは女子大生。理由はわかりませんが男友達を失っています。彼の撮った写真は彼が撮ったので彼女は写っていますが彼は写っていません。

で、この3人が最後に交わ…らないんです。

え、なにそれっておもうでしょ?
そういう作品です。

多分監督は『街の記憶と喪失』と『個人の記憶と喪失』をテーマにして撮っていったのかな?とわたしには思えました。
スジはありません。ただ誰もが感じることのできる記憶と喪失だけで映画は成立するのです。
毎日忙しいかたこそこの映画を見て2時間弱ぼーっとしてみませんか?
鍾馗

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