毛玉

マイ・エレメントの毛玉のレビュー・感想・評価

マイ・エレメント(2023年製作の映画)
4.7
こんなに可愛いラブストーリー見たことない!

火の国からの移民二世、火のエンバーと、優しくてモダンな水のウェイドのラブストーリー。
水に触れると消えてしまうエンバーと、水に触れると蒸発してしまうウェイドが触れ合う瞬間の美しさは忘れられません。

邦画ラブストーリーに無くて、洋画ラブストーリーでも少ない、「愛しい人を見る時の顔」がたっぷりと楽しめます。相手の美しさに気づく瞬間、相手へのリスペクトと愛を深める瞬間、全ての表情が本当に愛おしい。
特にウェイドがどんどんとエンバーに惚れていく様子が本当にかわいい。彼は水なので火のエンバーのゆらめく姿が時々彼自身に反射するのですが、ウェイドの目にエンバーが映るシーンが所々にあって、その全てで泣かされました。ヒトとヒトではできない、アニメ表現ならではの演出でした。

また、やはりピクサーはそれで一個映画作れるだろ!というアイデアを、ちょっとしたシーンに詰め込んでくれるから好きです。火、水、木、土、雲などの様々なエレメントが暮らす社会で起きそうなあらゆるハプニングを細かく見せてくれますし、それを無理なく人種や移民に起因する社会構造に繋げてくれています。五体投地です。

私は知らなかったのですが、本作の本編が流れる前に、まさかの『カールじいさんと空飛ぶ家』の後日談が短編で見られました。
本作もピクサーの傑作ラブストーリーですが、『カールじいさん〜』も傑作ラブストーリーです。この2作品が同時に見られたのは本当に嬉しかったし、カールじいさんが変わらず愛の深い可愛い爺ちゃんのままで、本当に嬉しかった!

監督の個人的な物語をクリエイティブとエンタメで世界に届けてくれる、ピクサー。ずっとそれ続けてくれ。移民系の話多めになってるけど、全部テーマ違うし、続けてくれ。
本当に大好きでした!
毛玉

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