アクションカットでばなお

マイ・エレメントのアクションカットでばなおのレビュー・感想・評価

マイ・エレメント(2023年製作の映画)
4.0
移民の話って分かった時点で『ズートピア』っぽいテーマなのかなと思って見てた。

ズートピアは肉食動物と草食動物間の「人種差別」問題をメインテーマとしてガッツリ盛り込んだストーリー。
一方『マイ・エレメント』は移民の社会問題を取り扱っていくのかと思いきや、意外とそこをメインで取り扱う訳ではなくて、「そういう背景のある2人の物語」として一貫して描いていたのが逆に良かった。

家庭環境など育った背景が全く違う2人が偶然ひかれあって結ばれる王道ストーリーはディズニーの十八番って感じ。

エンバーが生きる世界では、火のエレメントが分かりやすく迫害されているわけではなくて、一見ズートピアみたいに色んなエレメントが調和して暮らしているんだけど、実は偏見が結構残っている……みたいな感じがリアルっぽかった。

2023.11.09追記
ズートピアとの比較の話がもっと書けそうだったので追加で書きます。

どっちの作品も相反する2つの属性・背景を持つ2人が出会って中を深めていくんですけど、ズートピアが乙女ゲームのトゥルーエンド(友情エンド)で、マイ・エレメントがハッピーエンド(恋愛エンド)の世界線って感じなのかもって思ったら結構しっくりきた。
どっちが良いとかではなくて、作品の最適解がそれぞれの違うんですよね。

ズートピアは「警察官のウサギ」が主人公。ジュディは「世界をより良くする」ために警察官になって、ニックと出会って事件に巻き込まれている。
警察官である以上、事件の解決に重きを置くサスペンス展開は当然だし、仮にニックと恋愛関係になる世界だったとしても、ズートピアの話の中で描くことじゃない。
2人がくっついたら「2人の世界」は幸せになるけど、警察官のジュディの目標である「世界をより良くする」ことが叶わない。

一方マイ・エレメントの主人公たちは警察官じゃないし、世界をより良くするために仕事をしている訳でもない。
あくまで「事件に巻き込まれた2人」の恋愛を描いているから、事件との関わり方はあれで良いし、2人のバックグラウンドにフォーカスするので大正解だと思いました。