「ズートピア」「インサイドヘッド」等、ピクサーの秀逸なメタファー作品だったが、動物や感情と異なり、現実にもこの宇宙上にも存在しえないような5要素の擬人化というかなり無理のある設定で、乗り切れなかった。
メタファーの不自然さが前に出過ぎて、感情移入するためには、80年代にスラム街の酒場を買って移民してきた韓国系アメリカ人女性と、エスタブリッシュメント階層の白人男性との恋愛という現実の方が浮き上がってきてしまうバランスだったので、少々乗り切れなかった。
脚本家チームでシステマチックにメタファーを合理的に作り出すピクサーのシステムには優れた部分もありながらも、不効率でも宮崎駿や庵野秀明らが情念から作り出すような理屈で説明できないような芸術性は生まれることがないのだろうとも思った。
