マツ

ナショナル・シアター・ライブ 2023 「るつぼ」のマツのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

セイラム魔女裁判を基にした戯曲「るつぼ」。
初演時のアメリカでは「赤狩り」があり、当時の状況をセイラム魔女裁判の時代を通して批判している?
セイラム魔女裁判の50年後くらいがアメリカ独立戦争で、90年後がフランス革命?そう思うと、ヨーロッパで迫害されてきた人々が宗教と政治が密着していたのもうなずける。この二つの出来事の前か後かは人々の意識が全然違うと思うので。

誰かを聖人化するのではなく、どんなに最悪な状況であっても自分に誠実でいられるかどうかに焦点を絞っているのが現代的で良かった。嘘をつけば助かるが、死の瀬戸際になってやっと自分に誠実でいることが出来た。それをどんな関係であっても他者が止めることは出来ない。というような感じ。

パンフレットの翻訳手掛けた方の文章が良かった。台詞で「罪を告白するかしないかのどちらかしかないのだ」と二者択一に執着する裁判官だが、それによって泥沼化し犠牲者が増えていくのだ。9.11のブッシュの発言を引用したり、清教徒文化の子供たちにとってブードゥー教(少女たちの奴隷が南アメリカ出身だった)からの身体的リズムからくる踊りの解放感はどれほどであったか。等々圧倒的知識量!文章書くの上手いの良いな〜となりました。

舞台美術が大掛かりで良いなーーー

麦角菌が関係している説って今は否定されているんですね。時折調べ直すの大事。
マツ

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