よもぎ

みなに幸あれのよもぎのレビュー・感想・評価

みなに幸あれ(2023年製作の映画)
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誰かの不幸の上に皆の幸せは成り立っている。地球上の幸せには限りがあって皆その幸せを奪い合って生きている。それを知りながら幸せを受け入れる事が出来るのか。それを受け入れてまで得たい『幸せ』とは?

鑑賞後、そして監督と役者陣による初日舞台挨拶を経て延々考えてしまう。

物凄くシュールで面白くて不条理で奇妙なホラーだった。
全体を通して謎が多い、というか謎しかない。けどくどくど懇切丁寧に説明は一切しない。寧ろそこが良い。

田舎の爺婆の元を訪れた孫娘に次々と襲い掛かる爺婆の奇行から始まる怒濤の受難の数々…!!パン一のおっさん…!!としか言い表せない様なストーリーの中で度々爺婆が孫に問い掛ける「あなたは今幸せ?」の様な主題を問うメッセージをバンバン観る側へ投げ掛けて来るので壊れゆく(同化してゆく)孫の心情に没入してずぶずぶぐるぐる『幸せ』を考え続けてしまう。
幸せって難しいね………(ゲンドウポーズ)

幼馴染の彼とかも好きな子の為に、って最後あの選択をするけれどそれは果たして不幸なのかな…とか。彼女は本当に幸せになれたのかな…とか。幸せって、何だろう………………………とか(そしてまた振り出しに戻る)。

兎に角シュールで奇妙でクスッとするけどゾクッともする、ちょっと癖になる様な面白いホラー作品だった。
因みに私は森の合奏団の様な趣きのあったパン一のおっさんを囲い各々音を奏でる(?)家族達のあのシーンが何だかとても好きでした。一瞬のほんわか(?)。

何はともあれこれが初長編作品とは思えない力作かつ怪作。下津優太監督のこれからがとても楽しみ。古川琴音さん、大変可愛かったです。
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