かもめ食堂の様なほっこりテイストを期待して観ると激しく裏切られるのでご注意。
主人公の依子は寝たきりの義父の在宅介護をしているのだが、ある日夫が失踪してしまい、新興宗教にのめり込む。
この宗教の会合の様子は荻上監督の高校がモデルだそうで、全く架空の宗教とのこと。変な歌と踊りがジワジワ来る。
平岩紙の笑顔がとにかく怖い。
義父も亡くなって息子は九州に行ってしまい、依子はスーパーでパートをしている。そんなある日、突然夫が戻ってくる。
この夫がとにかく無神経でイラッとするんだけど、こういう悪気の無いダメ親父いるよねーって感じ。
ガーデニング好きな夫が出ていったあとに庭を枯山水にしちゃったのは監督が最後のシーンで一番あれを落としちゃいけない場所はどこだろうと考えたときに思い付いたそうで、依子の狂ってる感じも上手く演出できて良かったとおっしゃっていた。
そしてものすごく不幸に見える依子も、息子が連れてきた聴覚障害のある姉さん女房を差別する。自分より下を見つけて安心しようとする人間の醜さを突き付けられた感じでゾワッとするんだけど、この人がまた食えない女なので苦笑い。
お掃除のおばさんとの友情にちょっとだけ救われるけど、とにかく闇だらけ、まともな人がほとんどいないブラックムービー。
でもラストシーンは爽快。
BGMがずっとクラップ音だったのはこのラストのための助走だったのだ。
