Nyayoi

波紋のNyayoiのレビュー・感想・評価

波紋(2023年製作の映画)
3.8
新興宗教を信仰する依子とその家族の話。

家族は離れ、一人で過ごしていたところに、突然失踪していた夫が帰ってくる。家は不気味なほどに信仰の水で溢れている。

⾃分の⽗の介護を押し付けたまま失踪し、その上がん治療に必要な⾼額の費⽤を助けて欲しいとすがってくる夫、依子は日々の感情を抑え込むためにさらに信仰にしがみつく。

見ていても勝手な夫には最初は苛立ち!いろいろ事情はあったようだ。
後に障害者の恋人を連れて帰ってきた息子に父が「母さんがおかしくなっていくのをみていて辛かったろうな。・・」

信仰に没頭する母、おかしいと思っても家族として見ていかざるを得ない諦めが滲み出る。

依⼦は湧き起こる⿊い感情を宗教にすがり、必死に理性で押さえつけようとする。新興宗教の問題は今も続くことだが、一連の騒ぎを側から観ている観客は、信仰がおかしなものと認識できるのに、実際にはハマってしまう人が多いのだ。

心地よい映画ではないけれど、人間の内面、弱さを客観的から見ていることで、気づくことがたくさんある。

息子の恋人はなんだか怖い。。
ゴミ屋敷に住む清掃員、やっぱりいろいろ事情はあるんだよね。
宗教のセールスも怖い。人の弱さにつけ込んで、断れない心情にして売り付けるなんてとんでもない、と側からみていれば思う。
依子の最後の踊りは感情の爆発か。我慢することで鬱屈した精神状態は危険だ。
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