ロアー

最後まで行くのロアーのレビュー・感想・評価

最後まで行く(2023年製作の映画)
4.3
ちょっと無理すれば初日に観れるかも?と、仕事が終わってから速攻で、劇中のように雨の中をめちゃくちゃ(早足で)急いで観てきました。

いや〜面白かった!
オリジナルの韓国映画の方は結局観るのが間に合わなかったので、「どうやらブラックコメディの要素があるらしい」という事前情報だけを携えて観たんだけど、本当、あらすじからは予想のつかない思わずクスッと笑ってしまうような映画でした。

自業自得ではあるものの、岡田准一演じる主人公・工藤が、不幸と不運の全部盛りセットをぐぎぎっと歯を食いしばりながら無理やり食べさせられているみたいな映画で、不運に次ぐ不運の連続があまりに不幸過ぎて逆に面白くなって笑っちゃうし、追い詰められた工藤の焦りっぷりも面白かった。
轢いた死体を隠そうとしているクズ人間の筈なのに、岡田准一の憎めないキャラ作りがうまかったのと、ブラックコメディにしたことでシリアスになり過ぎず、観ているうちにいつの間にか工藤を応援したくなっちゃう気持ちにさせるところもうまかったです。

そんな信頼の岡田准一の演技力はもちろんのこと、今回は綾野剛の怪演に脱帽でした。登場した瞬間、表情から佇まいまで漫画に出てくる一目見てヤベェと分かるキャラみたいで、とにかく表情の作り方がヤバ過ぎて、眉間の皺もすんごいことになってて、おでこ〜眉間〜おでこのシワが深い"ひ"の字みたいになってたもん。

そんなヤバい奴である綾野剛演じる矢崎も、実は工藤と同じく不幸の全部盛セットを食べていたと分かった中盤からの展開が益々面白かったです。
追う者と追われる者であり、かたや自身の結婚式、かたや母親の葬式という人生の大きなイベントを同じタイミングで迎えた2人でもあったので、てっきりとことん対照的な役なのかと思いきや・・・
そんな2人の物語の交錯の仕方もたまらなかったし、終わり方も良くて直訳の「しんどい日」じゃなく「最後まで行く」という邦題をつけた方もセンス良いなぁって思いました。


↓↓↓以下、ネタバレ感想↓↓↓










・そうそう、 矢崎は絶対ああいうコート着てる!私と解釈一緒!って言いたくなった衣装の絶妙感
・今回の柄本明も最高だった〜!ニコニコしてるのに背筋が寒くなる笑顔。あれで優しそうな好々爺もできるんだからすごい。最近観た邦画の9割に柄本家の誰かが出てた気がするし、ホント日本の映画界に無くてはならない一家だよね
・工藤も矢崎も天中殺の年末だったね〜と思っていたら、最後の最後でまさか、そこまであなた様の手の内だったとは。もはや神かな?
・札束の中での乱闘シーンも墓石をバタバタ倒しながらの追いかけっこも、(不謹慎ながら)これぞエンタメだよね〜という謎の爽快感があって面白かった
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