基本的には巻き込まれ型サスペンスではあるが、常にアタフタしている岡田准一と、鉄仮面ではあるがどこか詰めが甘い綾野剛の過剰なコミカルさを引き出し、銃撃戦やカーチェイスなどのアクションも盛り込んでみせる。
見境がないようにも思えるが、藤井道人のこういうエンタメがやりたい、こういう画を作りたい、こういう顔が撮りたいという明確な意志が伝わると同時に、スピーディーかつ交通整理された語り口はもはや手だれたもので、いかなるジャンル映画も手掛けてきたキャリアの賜物だと改めて感じる。
結局、柄本明演じる黒ダヌキの掌で若造が踊らされていたという裏ボス感も、全てを悟ってもはや互いを傷つける必要はないのに、何かを演じるという仮面を剥ぎ取り、人間がむき出しになった二人の男が利害関係なくどこまでも突っ走っていくラストは爽快であり、新たなバディムービーの形にたどり着いてみせた感さえあった。
