実にいい映画。全編モノクロで章終わりの一瞬だけ色付きでチラ見せさせる、せかい。言葉を失っても"ことば"は、"おもい"は、きちんと伝わることを改めて気づかせてくれる。おきくが中次の名を書いて、じたばたするシーンがとてもかわいくて好き。
下肥え買いという仕事の大変さ辛さは、糞尿もそうだけどそれ以上に、心無い人の言葉ひとつが、だったのではと感じた。
全体のセリフ量も少なく、だからこそひとつひとつのセリフや演技の切実さ重さぬくもりが胸に沁みてくる。言葉であふれる今の世に、おきくの"せかい"はとてもまぶしく愛おしい。
