菩薩

男はつらいよ 寅次郎かもめ歌の菩薩のレビュー・感想・評価

4.2
シリーズ26作目、マドンナ:伊藤蘭。

博・さくらファミリーが、狭いながらも庭付き一戸建てを購入、その二階には寅さんがいつでも泊まれる様にと空き部屋一つ、そんな心遣いに言葉を詰まらせ、ただただ有り難さと申し訳なさを噛みしめる寅さん、源ちゃんから拝借した(巻き上げた)二万円を引越祝いにと差し出すも、額が額だけに素直に受け取っては貰えず、恥ずかしさと情けなさでとらやを飛び出してしまう。そこからの展開はもう何と言っても蘭ちゃんが可愛すぎて可愛すぎてどうしようも無い訳だが、単なるアイドル映画では終わらせない山田洋次の人情味が光る。死んだテキ屋仲間の忘れ形見、東京に出て働きながら定時制に通い、一人前の人間になりたいと志す幸薄娘のために一肌脱ぐ寅さん、父親代わりを買って出てあれやこれやと大奮闘、当然毎度の事ながら巻き込まれるとらやの面々+タコちゃん。セブンイレブンでバイトを始めて、髪をポニーテールに結いレジを打つ蘭ちゃん、試験に落ちたらどうしようと、ひたすら弱音を吐き続ける蘭ちゃん、そんな試験もなんとか突破し、寅さんと手を取り喜びを爆発させる蘭ちゃん、もうダメだ愛くるしいの範疇を超えている。だがそんなある日蘭ちゃんが突然の外泊、当然寅さんはカンカンに怒るものの、彼女の結婚宣言に対し「幸せにならなかったら承知しねぇぞ、いいな?」と、強がりと優しさに満ちた一言残しとらやを後にする、見ず知らずの娘を思う寅さんの強い気持ち・強い愛が、滝の様な涙を誘引する。ちなみに今作は寅さんの生年月日が判明する回でもある、1940年、11月29日、寅さんも自分と同じ11月生まれ、それが書かれた入学願書を見ながら涙ぐむさくらがこれまた…。
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