物語の発端となる冒頭の銃撃戦、ニコラス・ケイジが真向かいのホテルのバルコニーの射手を見上げた瞬間にそこに干してある白いシーツが印象的に翻るのが目に入るが、20年の時を経てケリー・クヌーペが同じようなシーツを干す時不吉な予感を与える。事実、ノア・ル・グロはシーツのすぐ向こう側から現れるし、ケリー・クヌーペはニコラス・ケイジが墓穴を掘るその横でシーツに包まれたまま横たわることになる。そして、冒頭や洗濯物の場面ほど目立たないがクライマックスにおいてもシーツはメッセージの書かれた横断幕として変奏される。
ニコラス・ケイジに射撃を指導されるライアン・キーラ・アームストロング。ライフルの反動が大きいのか上手く命中させられないので拳銃を所望すると、次のカットで的代わりにしていた帽子に開いた二つの銃痕がアップで映る。内面を露わさない父娘の行動が的確な省略を生む。
実質的な主人公はライアン・キーラ・アームストロングだろう。ショットガンを突きつけられながらも平然と銃口を押し除け脚の銃創を踏み付けるアクションが良かったし、その反応を見たときの台詞も最高(ああいうふうに泣けばいいのね)。