垂直落下式サミング

コカイン・ベアの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

コカイン・ベア(2023年製作の映画)
4.0
マフィアの運び屋の小型機が、上空から大量のバッグを地上に投下している。夜間に大量の麻薬を投下しておいて、あとで他のヤツに回収させる算段だったのだが、操縦を誤って墜落し、大量のコカインはジョージアの森のなかに…。
観光客、子供、警官、売人、そしてグレた若者の集団が自然公園に集結する。だがその森では、意図せずコカインを摂取した巨大なクマが暴れまわっていたのであった。
「ママとケンカしたから滝を見に行く」という活発な女の子の後ろに着いていきたい人生だった。子供たちかわいかったですね。仲いいのは似たような境遇だからってだけだれど、でも二人だったら学校をサボるような行動力を発揮できるという関係性。
こんな微笑ましい関係にマフィアなんか絡んできてほしくないなあと思っていたら、ご都合主義すぎるところもなく、各々のストーリーの導線が必要以上に交わらずにしっかりと進んでいって、でもちゃんと最後の最後には接触するトムソーヤ。
コカインベアは、めっちゃキレるけどすぐ疲れて寝ちゃう短期決戦タイプ。ちょこんと座ってキマってる姿が可愛らしいけど、人間の味と狩りかたを覚えたので執拗に追ってくる。
クマにあったときの対処法は、戦う方がいいとか、逃げろとか、死んだふりをするとか、色々言われるけど、コカインベアにはぜんぶ通じずに襲われてしまう。野性の凶暴さのタガがハズれてオーバードーズ。実際の山で出くわしたとしても、すべての状況に対応する最適解なんてないんだろうし。
好きだったのは、動物学者のおじさん。最初に「クマは積極的に人を襲わない。君らが怒らせたんだろう」と動物はフレンドだからって環境派の嫌なところをチョイだししてくるけれど、木に登った男の子のほうにクマが気付いて襲いに行ったとき、お母さんと一緒に「逃げろ!登れ!」って男の子の身を案じているのがよかった。
それなりに良識人なのがわかったところで、クマからしたら肉の体積がちがうだけで平等にエサでしかないってのも、真理をついていると思う。