垂直落下式サミング

ホッタラケの島 遥と魔法の鏡の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

3.5
武蔵野にある祖母の家にやってきた少女は、神社で奇妙なきつねを見つけて後を追うと、不思議な世界に迷い込んでしまう。そこは、人間たちが放っておいたままにしたモノのあふれる「ホッタラケの島」だった。
埼玉県入間市を舞台としており、ハタヤの稲荷に卵を供えると、なくなった探しものが帰って来るという古くから伝わる土着の民話からインスパイアされている。埼玉県のグッドデザインゆるキャラとして頭角をあらわしていたコバトンもカメオ出演。
子ども向けストーリーだと思ってたけど、そうでもなくて、これまでモノを捨てた数が多いオトナほど受けとるものがあるかも。綾瀬はるかの声に癒されながらひとりで観なければ、申し訳なくなってきてしまうかも。ホッタラケの島に残してきた思い出には、ほんとは大事なものがあって、まだ気付けていなかったりして…。
完全にピクサーに遅れをとったのに、国産CGアニメーションも頑張っていた模様。なんでも、3Dのかわいい女の子のモーションを完成させるまで、ソフトウェアの開発から4年を有したという。アニメーターたちの美少女へのこだわりに思いを巡らせると、アツいものが込み上げてくる。
綾瀬はるかが遥を演じる宛て書きが、不気味の谷を越えるとき、夏服の袖口とプリーツスカートが揺れる。ちょっとドキドキするアニメーション。冒険をするには丈が短すぎて不安になってしまうが、二の腕も太股もフェイスラインも、ちゃんと健全にみえる物理演算の職人芸は流石と言ったところ。捕まって拘束されるところは、ちょっと危うい。