ナチのマークが逆なのはさすがに笑ったけれど、あれはもしかして、、安直に嘘のヘイトクライムを巻き起こしちゃった主人公の人種差別への無理解(無関心)を示唆しているのか?
テレビでヘイトクライム関連のニュース映像を見ながら目を輝かせている彼女の様子は、私には過去の惨事や自分とはまるで無関係の事件を野次馬的に楽しんじゃっているようにも見えた。。
あのドヌーヴ様が、貧しい母子家庭の母を演じているのにはよく考えたら違和感を覚える。しかし、一方の娘はまるで安くさい草間彌生デザインのキャリーケースを買ってもらっただけで、気づけばその買ってくれた見知らぬ男の前で下着姿になっているから、ここからは貧困の様子が伺えたのかもしれない。
COVID-19によって前週の『証人たち』を見ることができなかったのが、めちゃくちゃに悔しい。いっそのこと、本作を見ても自分がアンドレ・テシネに全く惹かれなければその悔しさも緩和されたはずなのに、、、結局、主人公の特に「顔」の撮り方は綺麗すぎて目を見張ってしまった。
泣いている顔を写したショットは『女と男のいる舗道』でジャンヌ・ダルクを見ながら泣くアンナ・カリーナの顔を連想させたし、電車内で揺れ動く主人公をまるでスローモーション?のようにブレブレで撮ったアーティスティックな撮影も惚れ惚れしてしまった。なんとかもう一度見直したいし、『証人たち』もどこかで見たい。
そして、めちゃくちゃ個人的なことをここに書くのは忍びないが、あえて今回だけは書いてみる。※以下はレビューでもなんでもない
これが彼氏と見る初めてのフランス映画になった。(自称)映画好きの私が、マイナーな作品をを普段はなかなか見ない彼氏と共に本作を見に行くのは、かなり勇気が必要だった。なぜなら、私が普段興味津々で見に行っているものに対して負のイメージを持たれるのがとても怖かったからだ。アンドレ・テシネの作品は私も見たことがなかったから尚怖い。
そして終映後、見終わった彼氏には面白かったか否かこそ聞けなかったものの、それでも彼は本作の感想を私に一生懸命話してくれた。
一緒にこういう、少なくとも日本ではマイナーな作品を見てくれたこと自体それだけで嬉しかったのに、素直に思ったことをいろいろ言ってくれたのが本当に嬉しかった。
難解な映画を見た後に語り合うことの楽しさをいつか彼にも実感してほしい。(これは私のこじつけに近いから無視)
今のところ、その彼氏は私が日頃どういうものに燃えていて、なぜそれらのために頑張ろうとしているのか全く理解していない。けれど、これからその理解のための材料となるはずの、未だ多くの若者たちが真価に気づけていない素晴らしい映画を彼とたくさん見に行けたらそれは今の私の本望だ。