シネマ2
東京でひとり暮らしのフリーターの陽子(菊地凛子)は、従兄の茂(竹原ピストル)から父が亡くなったと聞き、茂の家族とともに茂の車で故郷・弘前に向かう、、、。
何十年も父との関係が断絶している陽子は乗り気でなく従兄に半ば強引に連れて行かれる。ところが従兄の車で葬儀に行くはずが、予期せぬ出来事でヒッチハイクする羽目になる。その距離658キロ。
人とのコミュニケーションが苦手な陽子が見ず知らずの人たちに話しかける。あまりに拙い語りにある者はつっけんどんに対応し、ある者は怖がって逃げる。
それでも車に乗せてくれる人たちもいる。車の中での短い会話でその人たちの色々な人生模様があることが分かる。
危険な目にも遭いながら、時々父を思い出しながらようやく弘前の実家に着く。
内にこもった陽子の気持ちは、道中の様々な人たちと触れ合い、生のやり取りをせざるを得ない時間を経て人間の殻を破っていく。
菊地凛子の他人を受け付けない戸惑った顔を見ながら、ああもっとこうすればいいのにってモヤモヤするが、当人は必死だ。ああいう顔をし続けられる菊地凛子はいい役者だ。
それにしても、陽子がヒッチハイクしなければならなくなった切っ掛けがあまりにも取ってつけたように思うのはボクだけだろうか。