テッサロニキ映画祭にて。

オスカー国際長編映画オランダ代表。
夫を亡くした妻とその二人の子供の悲しみと混乱と喪失に向き合う姿を描いたもの。

過去と現在、現実と幻想、あり得た近い将来を混ぜて進む家族の話は、マチュー・アマルリックの「彼女のいない部屋」に少し似ている部分があるように思う。

妻のメレルは死者とコンタクトが出来る能力があるようで、悲しむ人々のためにそれを使っていたが、いざ自分が喪失に向き合うこととなり……

息子ボリスは母に反抗的になり父が教えてくれた水中遊泳を一人で練習し、娘ロンヤは古びた公衆電話で父と会話しようとする。
父の死を受け入れられず、なんとか繋がっていようとする姿に心が痛む。

それぞれが悲しみを秘めながら、なんとか区切りをつけて歩んでいこうとする。辛い話だったが、柔らかくて優しい映像、最後は少し救われた気はする。