カント

春のめざめのカントのレビュー・感想・評価

春のめざめ(2006年製作の映画)
4.3
素晴らしい✨ロシア油彩アニメ。

まさに動く印象派絵画。人物はルノアールかドガか、風景はシスレーかカイユボットか、アニメの概念を覆す光の描写が凄い。こと風景に関しては男鹿和雄を凌駕しているかも。
猫も2匹。白猫ミーカと茶ネコ。この猫の描き方も凄かった。茶ネコの表現に一番感動した。

▼19世紀末、革命前のロシア。16才の青年トーニチカが恋したのは掃除婦のパーシャ。そしてもう1人、隣の牧夫の妻25才のセラフィーマ。
▼トーニチカは神に聞く。
女性を欲望で見るモノは心の中で姦淫するのも同然…でも、女性は美しい。なぜいけないの?
トーニチカの煩悶に、セラフィーマが答えた時、パーシャは嫁いでいくと言う。
▼思春期の愛と仄かな官能。それを表現する為の油彩アニメの手法。変幻自在のカメラワーク。効果的な明暗差。

▼特典にはペトロフと師匠ユーリ・ノルシュテインの対談を収録。ユーリによるシスティーナ礼拝堂の新解釈が斬新でした。
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