三四郎

Die unmögliche Frau(原題)の三四郎のレビュー・感想・評価

Die unmögliche Frau(原題)(1936年製作の映画)
4.8
ハリウッド映画並みにテンポが良いドイツ版スクリューボール!!実に愉快!
ドロテア・ヴィークの理知的な表情、透き通るような清楚な美しさにただただ恍惚としていた。

女社長と若きエンジニアの初対面シーン。
息せき切って社長を訪ねて来たはいいが、まず玄関先で社長のいとこミニョンにぶつかる若きエンジニア。
ぶつかられたミニョンはうっとり彼を見るが、彼は詫びもそこそこに、社長のもとへ急ぐ。

まさか何千人もの社員を抱える石油会社の社長が女性だとは思っていない若きエンジニアは、通された部屋に立つイリアーナ(女社長)を秘書と勘違い。
イリアーナが社長とわかり、エンジニアが意見を言い始めるが、そのうち言い争いに。エンジニアは女社長に話す際、“社長“ではなく、常に冒頭に“Frau“(ご婦人)と言う。
お互いの議論は平行線のままついに「やっぱり、女に仕事の話は無理か!」と、腹立ち紛れに吐き捨てるエンジニア。その言葉にカチンときた女社長は「私は“Frau“(女)よ!」「へ?」「私はあなたの社長よ!」
そこにミニョンから電話がかかって来る。
「さっきの彼まだそこにいる?」
横目でエンジニアを睨みながら嫌そうに「えぇ」
ミニョン云はく「彼って魅力的よね!そう思わない?」
「思わない!」サッと電話を切る笑


仮面舞踏会におけるエンジニアの科白が気に入った。
„Sie…Sie sind wunderschön. Zu schön.“(あなたは…あなたは素晴らしく美しい。美しすぎる)
「愛」を素直に表現できない女社長が可哀想だった。愛し方を知らない孤独な人だ。

何故かかなりカットされていて、シーンがところどころ飛んでいる。1時間29分の映画がYouTubeには1時間12分でアップされているのだ…。
最後、ハッピーエンドなのは分かったが、余韻もなく一瞬で終わってしまう…。ここも悲しいかな、ラストシーンがカットされているのだろう。
途中、手紙の文字が何度か画面にアップされるが、なぜか全てドイツ語ではなくラトビア語?!
是非、完全版が見たいものだ。

※キネマ旬報(549)1935-08
海外通信『呆れた女』として紹介
※ キネマ旬報(574)1936-05
海外通信『困った女』として紹介
「石油会社の資本主義的競争や産業スパイの活躍やを扱い、且つ、女の心理や感情をも描こうとした映画。まず好評の部に属する作品」
三四郎

三四郎