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しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 〜とべとべ手巻き寿司〜のmichikoのレビュー・感想・評価

3.0
2023年の『クレヨンしんちゃん』劇場映画シリーズ第31作目。

クレしん初の3D作品としてはその2.5Dといえるビジュアルは素晴らしく、クレしんならではの暖かさや2Dの誇張表現など殺さずに表現出来ていたと思う。

今回の敵は拗らせてしまった所謂オタク。悲惨な過去の環境や経験から人生に絶望しており、そしてトドメは推していたアイドルの結婚である。(これ程までにナウな話題は無いだろう笑) 日本の未来は“お先真っ暗だ”と考え、世界に恨みを持ってしまう。

この何でも”お先真っ暗“と考える人が多いのが本当に理解できないのだが、政府のせい、国のせい、そう文句ばかり言う人が本当に多い。その中でどう生きるかが重要なのであって、敵を作って文句を言うだけだと何も解決しない。そこにメスをグッサリ入れるのが本作の為、敵のくだらない思考に肩入れしてしまう人や、見ててチクチク痛む人もいるのでは無いだろうか。

ただ、今回恐ろしいのが、この敵が超能力を手に入れて実行する事が世界の破壊などでは無く、幼稚園の立て篭もり事件である。その短略的な考えがあまりにもリアルであり、児童が見る作品として本作にとって本当に意味のあるシーンだったかというと疑問でもある。(案の定、面白がられて叩かれて話題になっているが、致し方ないかと。)子供達はこういった間違った大人をどういう目で見ているのだろうか。そういった存在を知らないよりはこういう作品で知っておいた方が良いのだろうか。そんな作品外の事を考えて見てしまった。

今回はいつも通りの家族愛や友情がテーマでは無く、何が人として構築させるのか、経験や心の支えの重要性といったより深い部分が扱われており、その上で“頑張れ!”というメッセージは人によってだいぶ受け取り方が変わりそうである。

色々書いたが、最高に素晴らしいのはエンドロール!もう絵もエモいし、サンボマスターの歌が激ハマりで最高だった。
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