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しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 〜とべとべ手巻き寿司〜のユーライのレビュー・感想・評価

4.8
幼少期の非理谷としんちゃんが出会ってからはずっと泣いてた。愁嘆場→ひろしの靴下で笑かすクレしん映画必殺の方程式。創作の素晴らしさを謳い上げるメタフィクションに弱いというのもあるが、「頑張れ」連打にはさほど悪印象を抱かず。行政が何とかするオチに持って行ってもそれこそ子供は置いてけぼりでしょ。穿った見方なんだけど、怒り心頭の方々こそ無遠慮に頑張れる奴の言い分を振りかざしているのではないか。大昔に作られたゴジラシリーズの一作に『オール怪獣大進撃』という映画がある。ゴジラでは客が呼べなくなって円谷英二も不在の中、既存のフィルムを編集してどうにかこうにかでっち上げられた代物だ。しかし監督の本多猪四郎は、決して子供騙しの安い手を使うことなく、チャンピオンまつりを観るメイン・ターゲットのガキンチョに向けて真摯なメッセージを投げかけることを厭わなかった。「逃げてもいい」とか「そのままでいい」みたいなその場しのぎで責任を取る気もさらさらない世迷い事には逃げず、「現実と戦え!」と決して押しつけがましくなく諭した。これが粋ってもんだ。翻って今回の『クレしん』にも同じものを感じる。無論雑な部分を挙げればなんぼでも出てくるし、7年も製作期間を費やしておいて結局頑張れしかないんかブチ殺すぞ。しかし、監督以下は無理筋の見当違いを十分承知の上で、それでもやるしかないのだ頑張るしかないのだと言い切っており、まぁ立派な態度だと、このように思いました。
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