ユーライ

雲のむこう、約束の場所のユーライのレビュー・感想・評価

雲のむこう、約束の場所(2004年製作の映画)
3.5
Filmarksのリバイバル上映にて初見がスクリーン。ありがてぇありがてぇ。噂以上に愚にもつかない、童貞による童貞の為のこれぞ正しくロマン・ポルノと呼ぶに相応しい代物で本当に酷かったよ。しかしですね、奇しくも同年公開のキリキリの『CASSHERN』と同じく、切り捨ててしまっては自己言及的に己を否定することにもなりかねない。即ち本作が明け透けにしている厨房丸出しのこっ恥ずかしさというのは、そのまま俺が持つ恥に他ならないからだ。せいいっぱい背伸びしまくって説明台詞を極力排し、SF的な説得力も持たせようとしているのは痛いくらい伝わるんだけど、いかんせん何から何まで内実を伴わないので終始イキフンで進行する。ちゃんと大人の理屈も描いてさ、セカイを世界にするよう努力はしてんだよな。テロップの挿入や実相寺アングル、編集のテンポ感などエヴァの影響は絶大なんだが、平行世界がどうたらこうたらといったホンをそれっぽく整えるだけでも滅茶苦茶気を使ったと思いますよ。作劇としては、運命に引き裂かれ離れ離れになった二人が夢の中であっさり逢瀬しちゃうのが良くない。そこはクライマックスまで溜めに溜めてくれないと。どういう繋がりで呼べたのか知らんけど、主人公の声優に吉岡秀隆をキャスティングしたのは慧眼。あの独特なしゃがれた声によるモノローグが本作の童貞力を著しく高めていると感じた。
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