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瞼の母のmitakosamaのレビュー・感想・評価

瞼の母(1962年製作の映画)
3.5
長谷川伸の戯曲の映画化。何度か映像化されているようだが、今作は錦之助バージョン。

錦之助が番屋の忠太郎。冒頭は下総飯岡での笹川繁蔵と飯岡助五郎との争いから。
笹川の子分・金町の半次郎(松方)に加勢した忠太郎だが、半次郎の母にはヤクザということで嫌われてしまう。
息子を堅気にしたい半次郎の母に、生き別れの母を探す忠太郎は理解を示す。

母を探して江戸に来た忠太郎。トラブっている夜鷹のオバサンを助け、自分の母らしき人物に辿り着く。
大棚の女主人お浜と面会するが、お浜は金をたかりに来たと思い、嫁入りする娘を守るために邪険に追い返す。が、娘夫婦の説得により反省しお浜は後悔し探しに出るが忠太郎はそのまま江戸を去る。

何が素晴らしいって、その台詞回しよ。目を閉じれば浮かぶ母の面影を、「上のまぶたと下のまぶたを合わせてみれば」と言う。いや、まぶたってそう言うもんだから(笑)でも原作から受け継がれる、この言葉のセンスはスゴいよなぁ。

そして若かりし錦之助の素直そうな感じが忠太郎のキャラによく似合っている。
最後、自暴自棄になるながらも追って来た飯岡の子分達を「おめえら親や子はいるか?」と確認取った上で全員をたたっ斬るのが何ともやるせない。

河内音頭などでも聞かれる瞼の母だが、映像になるとまた素晴らしい。おっかさーん!
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