確かに運命って意外と散漫なものかもな、とまず思った。改めて、宮崎駿さんはしっかりと囚われて真面目に向き合いどこまでも取り組んでいる人で、作家的な作家だという好感が、結果的にある。駿作品は「ジブリはジブリ」というムードがずっとあったけど誤解を恐れずに言えばこれははじめて「映画」だったかもしれなくて（風立ちぬは好きすぎるのでちょっと比較から除外）（＆失速や、デフォルメモチーフについてなど思うところはもちろん数多ある上で）しかも泥臭さと神域の混ざり合う、ひとりのたましいを注ぎきったハイライトのすべて（これは的確じゃないかもしれないけれど集大成というニュアンスでは絶対にない、むしろ本来もっと見せてもらえないはずの部分）をちゃんと世にこのタイミングや年齢や立場で提示できること自体に妙味があった。堰を切ったような独白、そして逆に宮崎駿が目の前に立って二時間かけて一周まわって見せてくれるインスタレーションにも思える。君たちは、どう生きるか。わたしは結局 まくしたてられること／対峙する行為 の同居に弱い。フォローしている人が「つまらないけど二作目の遺作として完璧」と書いていたのが本当にそうだし「大江の晩年じゃん」もわかる。
