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君たちはどう生きるかのtsuのネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

一回咀嚼しますわ

取り敢えず、第一印象はアルノルト・ベックリンの〈死の島〉
よく映画でオマージュされてるよねぇ

凄い思い込みやったらあれやけど性的な感じした。でかい魚と解体と、謎の白い生き物たち、それを食うペリカン。アオサギで登場する鳥は、アオサギとは言うけどコウノトリにも考えられなくないよな。冒頭の方でお母さん!お母さん!て声真似するシーン不気味で、もしや一方で死神的な立ち位置なんか?とも思ったりなんだり。
(知り合いに聞いたら弟だと言われたのでそれもあーー!ってなった)

あと、ハッとした既視感の正体は長編アニメ版のねこぢる草だわ、物語構成が。フラッシュバックした。(決して怖かったり残酷だったりするわけじゃないですけど)
積み木のシーンとか、あとあのアーチばかりが並ぶ回廊とか。

主人公が結構希薄なのも不思議で、子供っぽくもなければ大人っぽくもなくて、途中から一体誰なのかどの立場なのかわからなくなる感じが変でいい。

視聴者と登場人物との間に温度差があるタイプの物語というのもある。いきなり、は?となる瞬間がたまに挟まれるのだけど
正直個人的にはそういう感じが寧ろ良いまである。それは夢の中で支離滅裂な事が起こったとしてもそれに納得して話が進んでしまう感じ。(積み木をぐらつかせてあと二日(やったっけ?)はもつって言ったおじさんに対して主人公が「それしかもたないんですか?!」て言った時とか、自分達は誰かの夢を覗く感じのやつ、パプリカみたいな)
おそらく時間をかけて何かを成し遂げるとかいう次元の話じゃなくて、平行宇宙もの?の感じのお話で、世界の均衡を保つには、後世に残すのだと言った感じの話。

人から聞いた考察なのやけど、哲学者はわかるものにだけ伝わるように色んなものでそれら哲学の学問を隠したらしい。本を枯草に埋めるように。それは何故かというと、皆んながその哲学について理解してしまったら皆んな気が触れてしまうから、という。この物語でも、第二の母親なる人が、「大叔父は本を読んで頭がおかしくなってしまったらしい」と息子に告げるシーンがあるが、そういえばそこに合点がいくかも。
関係ないけど、哲学本がすっごい周りくどい語りなのもある意味、わかる人にだけ伝えたい
という熱い思いがあるのかもな。


EDロール米津氏控えめで安心しました。
色んな思いを込めて、取り敢えず下敷きを購入(個人的には全然問題ないけど、物販の選択肢少なすぎたw)
癖になるタイプの映画かも。てか忘れたらもう一回観たい。

追記
平行宇宙ものとは言ったけどよくわからんな。色んな世界が同時に存在していて〜というより、別の世界からキリコさんや母親の少女姿は本当に来ていて、それは家の血筋や前世の話になってくるのかな、最後のドアのシーンとか見たら。

芸術作品を挟んだ哲学や宗教の話は苦手や好き嫌いの話で終わらない、取り敢えず観て、絵がいいなと思えて、しかしそれについてくる思想や物語がどうかは本人の好き嫌い次第であって...
でも絵があるだけで一度は万人に見て理解してもらおうとする事ができる点では素晴らしいツールだなアニメや映画って。
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